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恒久的施設について

恒久的施設について

恒久的施設とは

恒久的施設とは、英語では Permanent establishment といい、日本でも略してPEなどと呼ぶことがあります。「PEなくして課税なし」というように、PEは、海外において課税の対象とするかどうかの判断をする、どちらかというと法人税に関係してくる概念です。

 まず、恒久的施設の定義ですが、各国の税法や各国間の租税条約の取り決めにもよるのですが、国税庁のHPでは、

(1)  非居住者等の国内にある事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場、作業場若しくは鉱山その他の天然資源を採取する場所又はその他事業を行う一定の場所

(2)  非居住者等の国内にある建設、据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供で1年を超えて行う場所

(3)  非居住者等が国内に置く代理人等で、その事業に関し、反復して契約を締結する権限を有し、又は契約締結のために反復して主要な役割を果たす等の一定の者

とされています。

 (2)と(3)は簡単にいえば、事業を行う固定的な設備のことを指しています。これを海外に持っているかどうかが、課税の対象とするかどうかが決まる一要素ということになります。

 

海外赴任や海外出張と恒久的施設

恒久的施設を海外に有しているかどうかは、海外赴任や海外出張に関する税務についても関わってきます。

 まず、通称183日ルールとして知られる短期滞在者免税制度においても、恒久的施設という概念が登場します。短期滞在者免税制度には一般的には3つの要件があり、

①    12カ月の期間において他方の国に滞在する期間が合計183日を超えないこと

②    報酬が他方の国の居住者でない雇用者またはこれに代わる者から支払われるものであること

③    報酬が他方の国に存在する雇用者の恒久的施設によって負担されるものでないこと

のような要件としている租税条約が一般的です。

なお、①の要件は、暦年の12ヶ月なのか、いずれかの日から起算して12ヶ月間なのかは、租税条約により異なるため確認を要します。この①の要件から183日ルールと呼ばれているケースが多いのかと思いますが、実際には免税となるためには他に2つの要件があり、そのうちの1つに恒久的施設という文言が含まれています。これは例えば、海外出張者の人件費について恒久的施設に該当するものに費用請求した場合には、短期滞在者免税を受けられないということになり、現地での申告納税が必要になってしまう可能性があるため、人件費の請求をする際には留意を要します。

なお、子会社はあくまで別の法人に該当するため、恒久的施設には該当しません。