海外赴任における福利厚生等の税務上の取り扱い

 海外赴任者に対しては、現地における安全への配慮から、住宅や車両、運転手などを会社から支給することがあります。住宅については、現地の治安の悪い地域に居住した場合にトラブルに巻き込まれてしまうリスクを避けるために、現地におけるいわゆる高級住宅街などに居住させるケースも多いでしょうし、車両についても現地の運転に不慣れな海外赴任者が事故を起こしてしまうリスクなどを避けるために、運転手を付けることも多いと思います。これら住居や車両・運転手の支給についてはは、税務上の取り扱いはどのようになるのでしょうか?

海外赴任先での住宅補助や運転手などの支給

 住宅について海外赴任者に自由に選択させると、コストを重視して安い地域の安い住居を選択する社員もいるかもしれず、セキュリティ上の不安が生じ、社員の安全を十分に確保できない可能性があることから、会社がセキュリティレベルの高い住居を支給するケースも多いと考えられ、その点では会社の費用であるため社員の給与として扱われることは無いように考えられますが、国によってはこちらは社員が会社から受ける便益として給与課税の対象となってしまう可能性があります。会社都合での海外赴任とはいえ、個人の住宅は基本的には個人が負担するべきものと考えられているためです。日本においては社宅であれば一定の負担を社員にさせていれば給与の一部とはみなされないという税務上の制度がありますが、この規定は日本の税法上のものであって、世界共通ではありません。そのため、会社から支給した住宅について、たとえば一部を社員が負担していたとしても、残りの部分について給与とみなされてしまう可能性もあり、現地の税制を調べる必要があります。
 更には、運転手や家具代などについても、本来本人が負担するべきものであることから、関連する費用を会社が負担した場合には、本人に対する給与とみなされて海外赴任者に対して税金が課されてしまう可能性があります。会社都合での海外赴任で、赴任先の国において事故を起こさず安全に過ごしてもらうための費用であったとしても、個人専属の運転手は個人の負担において契約するべきものであり、個人に対して課税されてしまう可能性を考えなければなりません。なお、税務とは無関係の話ですが、特に治安の悪い国などにおいては、犯罪グループの標的とならないよう、毎日同じ時間を同じルートで通勤していると行動パターンを読まれて狙われやすくなってしまうため、出勤時間を変えてみたり、通勤ルートを変えてみたりして、犯罪グループに狙われないようにする工夫も効果があると考えられます。

海外赴任者が自己において契約した場合

 なお、住宅手当や運転手、家政婦などを会社の補助等を受けて自己において契約した場合には、それらの補助は給与を構成するものですので当然に給与課税を受けて税金の対象となります。会社が用意した諸手当について海外赴任者が会社支給のものと考えて税務申告の対象としなかったものの、後に現地の課税当局から課税所得とみなされてしまうと、無用な税金が発生してしまう可能性があることから、最初から給与の一部として車両代などを現金にて支給してしまうという方法も考えられます。